用語説明(PP)
1.降伏点強度(Yield point strength)
荷重-伸び線図、応力-ひずみ線図等で見られるように物体に働く応力が弾性限度を超えると荷重または応力の増大がないのに変形が徐々に進行する現象を「降伏」と呼び、弾性挙動の最大荷重、最大応力値における点を「降伏点」または「降伏点強度」という。
プラスチックでは一般に降伏現象がないか、あるいは降伏点でのひずみが大きいので、実用的に一定(0.2%)の永久ひずみ(オフセットひずみ)を生じる応力すなわち耐力を「降伏点」と規定している。
単位はMPa又はkgf/cm2で表す。
プラスチックでは一般に降伏現象がないか、あるいは降伏点でのひずみが大きいので、実用的に一定(0.2%)の永久ひずみ(オフセットひずみ)を生じる応力すなわち耐力を「降伏点」と規定している。
単位はMPa又はkgf/cm2で表す。
2.破断点伸度(Elongation at break)
引張試験における、試験片の決められた標点間での破断直前の伸びをいう。破断後には一部は弾性ひずみとして回復するが、その他は永久ひずみ、または残留ひずみとして材料内に残存する。
単位は%で表す。
単位は%で表す。
3.ヤング率(Young's modulus)E
たて弾性率の事。これは垂直応力すなわち引張応力δと垂直ひずみεの関係を表す弾性率Eで、せん断応力とせん断ひずみ間で用いられる
「横弾性率」とは区別される。
E=δ/ε
一般にプラスチック材料ではE≒300kgf/mm2位の値となっている。
単位はMPa又はkgf/cm2で表す。
「横弾性率」とは区別される。
E=δ/ε
一般にプラスチック材料ではE≒300kgf/mm2位の値となっている。
単位はMPa又はkgf/cm2で表す。
4.熱変形温度(deflection temperature under load)
荷重たわみ温度の古い用語で、現在では廃止。
荷重たわみ温度とはプラスチックの軟化温度の一種で、比較的高軟化温度の硬質プラスチックに適用される。
試験方法はJIS K7207-1983「硬質プラスチックの荷重たわみ温度試験方法」に規定されているが、幅3.0〜4.2mm、高さ9.8〜12.8mm、長さ110mmの長方形試験片を用い、スパン間隔100mmで、応力18.5kgf/cm2(181.3N/cm2)又は4.6kgf/cm2(45.1N/cm2)のいずれかの3点曲げ応力を負荷し、油中で2℃/minの速度で昇温、試験片が軟化して中央部すなわち荷重点のたわみが規格で定めた標準たわみ(例えば試験片の高さが10mmの場合は0.32mm)に達した時の温度を測定。この温度を「荷重たわみ温度」という。
単位は℃で表す。
荷重たわみ温度とはプラスチックの軟化温度の一種で、比較的高軟化温度の硬質プラスチックに適用される。
試験方法はJIS K7207-1983「硬質プラスチックの荷重たわみ温度試験方法」に規定されているが、幅3.0〜4.2mm、高さ9.8〜12.8mm、長さ110mmの長方形試験片を用い、スパン間隔100mmで、応力18.5kgf/cm2(181.3N/cm2)又は4.6kgf/cm2(45.1N/cm2)のいずれかの3点曲げ応力を負荷し、油中で2℃/minの速度で昇温、試験片が軟化して中央部すなわち荷重点のたわみが規格で定めた標準たわみ(例えば試験片の高さが10mmの場合は0.32mm)に達した時の温度を測定。この温度を「荷重たわみ温度」という。
単位は℃で表す。
5.デュポン式衝撃強度
落体の運動エネルギーを用いる試験方法の中でデュポン式衝撃試験がある。−10℃に調整されたサンプルシート(30mmX30mm)を受台の上にセットし撃芯(半径1/4インチ)をシート上に固定する。おもり(荷重275g)を適当な位置より撃芯の上に落下させ、シートの割れを判断する。
(割れの判断としてシートの伸びにより円状に抜けきれたものは「割れ」とは判断せず、ヒビ割れの生じたもののみ「割れ」とする。)
シートの割れが発生するまで高さを1cm刻みで高くしてシートが割れるまで予備テストを行う。シートに割れが発生すると落下高さを1cm低くし、また割れが発生しない場合は落下高さを1cm高くするというテストを繰返す。
(N=50)そして、このサンプルシートの半破壊率(50%が割れる高さ)を求め、荷重を掛けたものが衝撃強度となる。
単位はJ(ジュール)で表す。
(割れの判断としてシートの伸びにより円状に抜けきれたものは「割れ」とは判断せず、ヒビ割れの生じたもののみ「割れ」とする。)
シートの割れが発生するまで高さを1cm刻みで高くしてシートが割れるまで予備テストを行う。シートに割れが発生すると落下高さを1cm低くし、また割れが発生しない場合は落下高さを1cm高くするというテストを繰返す。
(N=50)そして、このサンプルシートの半破壊率(50%が割れる高さ)を求め、荷重を掛けたものが衝撃強度となる。
単位はJ(ジュール)で表す。
6.鉛筆硬度(pencil hardness)
鉛筆の芯の硬さを基準にした簡易の引っかき硬度試験で求めた硬度。
(引っかき硬度試験)
硬さの標準になる物質を試料面に押し付けて引っかき傷を付けて硬さを調べる方法。
(引っかき硬度試験)
硬さの標準になる物質を試料面に押し付けて引っかき傷を付けて硬さを調べる方法。
7.全光線透過率(light transmission)Tt
透明プラスチックの光線透過度のことで、可視光線と紫外線についての試験がある。ヘイズ値の小さい場合、試験は積分球式光線透過率測定装置を用いて、可視光線及び紫外線について入射光量T1と試験片を通った全光量T2との比を百分率で示す。
Tt=T2/T1
単位は%で表す。
Tt=T2/T1
単位は%で表す。
8.ヘイズ(haze)Th
透明プラスチックの内部又は表面の不明瞭なくもり様の外観の度合いのことで、数値はくもり価という。くもり価の試験方法は、全光線透過率試験と同様な操作で試験片の光線透過率を測定し、次式によって算出する。
Th=Td/Tt(Tdは散乱光線透過率、Ttは全光線透過率)
単位は%で表す。
Th=Td/Tt(Tdは散乱光線透過率、Ttは全光線透過率)
単位は%で表す。
9.圧縮強さ(compressive strength)
材料の圧縮試験中に試験片に加わる最大圧縮応力をいう。なお、圧縮応力は試験片に加えられた圧縮荷重を試験片の元の断面積で除して求める。圧縮強さと圧縮降伏強さ、圧縮破壊強さとを区別する場合があり材料の圧縮試験における荷重-変形曲線上で、荷重の増加無しに変形が認められる最初の点での圧縮応力を圧縮降伏強さという。
圧縮破壊強さとは圧縮試験において試験片が破壊したときの荷重を元の断面積で除した値とする。
圧縮破壊強さとは圧縮試験において試験片が破壊したときの荷重を元の断面積で除した値とする。
10.曲げ強さ(flexural strength)
材料が曲げ変形を受けたときの破壊時の強さのこと。曲げ試験は3点曲げや4点曲げにより行われ曲げ強さは試験時の最大荷重から算出される。
3点曲げ試験では次式により算出される。
δ=3F・L/2bh3
(δは曲げ強さ、Fは最大荷重、Lは支点間距離、bは試験片の幅、hは試験片の高さ)
単位はMPa又はN/mm2で表す。
3点曲げ試験では次式により算出される。
δ=3F・L/2bh3
(δは曲げ強さ、Fは最大荷重、Lは支点間距離、bは試験片の幅、hは試験片の高さ)
単位はMPa又はN/mm2で表す。
11.曲げ弾性率(flexural modulus)
材料の通常の曲げ試験3点曲げと4点曲げ試験において求めた荷重-たわみ曲線を用いて計算される弾性率をいい、3点曲げ試験では次式により算出される。
E=L3F/4bh3Y
(Eは曲げ弾性率、Lは支点間距離、bは試験片の幅、hは試験片の高さFは荷重-たわみ曲線の始めの直線部分の任意に選んだ点の荷重、Yは荷重Fでのたわみ)
単位はMPa又はN/mm2で表す。
E=L3F/4bh3Y
(Eは曲げ弾性率、Lは支点間距離、bは試験片の幅、hは試験片の高さFは荷重-たわみ曲線の始めの直線部分の任意に選んだ点の荷重、Yは荷重Fでのたわみ)
単位はMPa又はN/mm2で表す。
12.せん断強さ(shear strength)
破面に沿って平行に力が負荷された場合の最大せん断応力のこと。
せん断応力とは、物体の変形に作用する応力を、面に垂直な成分と平行な成分に分け、平行な応力のこと。
単位はMPa又はN/mm2で表す。
せん断応力とは、物体の変形に作用する応力を、面に垂直な成分と平行な成分に分け、平行な応力のこと。
単位はMPa又はN/mm2で表す。
13.ノッチ(notch)
試験片や構造体等で形状に急激な変化を有する部分。
14.アイゾット衝撃強さ(izod impact strength)
形状の違う4種類の試験片を垂直に立てた片持ち梁の形に試験機に1端を固定し、振子形ハンマーで打撃して折断した際の吸収エネルギーから衝撃値を求めた数値。
単位はJ/cm2で表す。
単位はJ/cm2で表す。
15.動摩擦係数(coefficient of kinetic friction)
軸受上でシャフトが回転しているもののように、相手材とある速度で運動している時に、その接触面で生じる抵抗力の大きさを示す係数である。
一般に動摩擦係数は静摩擦係数より小さい。
一般に動摩擦係数は静摩擦係数より小さい。
16.吸水率(water absorption)
一定寸法の試料を一定時間蒸留水に浸漬し、重量増加分と原重量との比を百分率で示したもの。
単位は%で表す
単位は%で表す
17.ロックウェル硬さ(rockwell's hardness)
1919年ロックウェルによって考案された押込硬度試験法による硬さ。
ダイヤモンド又は球圧子を用いて、最初に基準荷重、次に試験荷重そして最後に再び基準荷重を加えて前後2回の基準荷重による圧子の侵入深さの差から硬さを求める。基準荷重が10kgfの時をロックウェル硬さ(硬度)といい、3kgfの時をロックウェルスーパーフィッシャル硬さ(硬度)という。
後者は軽い荷重によって表面の硬さを調べる。JISでは基準荷重と試験荷重、圧子の組合せによって材質に応じた硬さスケールを制定している。
圧子に荷重を掛けた状態で押込深さをダイヤルゲージで直読出来て、基準荷重を用いる為凹凸等非状態の影響も少なく現場向けの計算法となる。
ダイヤモンド又は球圧子を用いて、最初に基準荷重、次に試験荷重そして最後に再び基準荷重を加えて前後2回の基準荷重による圧子の侵入深さの差から硬さを求める。基準荷重が10kgfの時をロックウェル硬さ(硬度)といい、3kgfの時をロックウェルスーパーフィッシャル硬さ(硬度)という。
後者は軽い荷重によって表面の硬さを調べる。JISでは基準荷重と試験荷重、圧子の組合せによって材質に応じた硬さスケールを制定している。
圧子に荷重を掛けた状態で押込深さをダイヤルゲージで直読出来て、基準荷重を用いる為凹凸等非状態の影響も少なく現場向けの計算法となる。
18.ビカット軟化点(Vicat softening point)
熱可塑性プラスチックの軟化温度のこと。測定方法としては加熱浴槽中の金属フレームに試験片を置き、中央部に先端を平坦に仕上げた直径1mmの針をのせ、針の上部に1Kgの荷重を加えた状態で50±5℃/hrの速度で温度を上昇させ、針が1mm侵入した時の温度を測定する。その温度がビカット軟化点という。
単位は℃で表す。
単位は℃で表す。